学生や教師にとって"より良い情報配信ツール"を目指し、DXにも繋げた南海福祉看護専門学校の取組

大阪府高石市にある南海福祉看護専門学校は、1968年に創設された歴史ある学校。2019年4月より「児童福祉科」・「介護社会福祉科」に「看護学科」が加わり、新たにスタートされました。「人間(ひと)を大切に」を教育理念とされており、社会の中で大いに開花できる「保育」、「福祉」、「看護」のエキスパートの養成に力注がれています。

そして今回、南海福祉看護専門学校の広報担当をされている岸上さんに取材の機会を作っていただきました。

岸上さんは、歴史ある南海福祉専門学校が抱えられていた課題をDXで改善され、インフラが整備された今でも、さらに良い環境になるよう、模索しながら日々運用をされています。

今回は、学校の課題をDXで改善するまでの背景や現在の状況、そして今後の展望まで、岸上さんにお聞かせいただきました。

(南海福祉看護専門学校 広報担当 岸上さん)

 

 

在校生の情報配信ツールとしてDX

最初は“新入学生に向けた広報的なアイテムとして使いませんか?こんなことやってる学校あるんですよ“みたいな感じで紹介してもらったんですよ。 それを聞いた時、正直自分的には、「その学校へ志願度がまだ定まっていない段階でアプリをダウンロードするストレージを確保するのか」って感じて。

今でこそ128GBがスタンダードのスマホの容量にはなってるのでそこまでは気にならないと思うんですけど、64GBとかの場合で、1個のアプリをとるって、重いと感じられるっていうのがあると思うので、「それで一枠つかうか?」っていう、そこがちょっと”はてな”なところがあったんですよ。

しょっちゅう行かへん所のアプリをとるかとか・・・。

“常連になるかわからんけど、とりあえず美容室のアプリ取るか”みたいに、それってやっぱりわからない部分があったので。なので、次年度入学を確保するためのアイテムとしては、過信しすぎたらあかんなと思ったんですよね。

ただ、うまくつかえばこのアプリいいんじゃないかなと思ったんですよね。

ちょうどコロナ禍になったところで、その時の課題点として”学生がメールをみない”っていうことだったんですよね。

学生のメールアプリ見てみたら全然100とか200、300とか通知のマークがついてたりして・・・(笑)その中に学校の大切な案内のメールが埋もれてるのかと(笑)

けど、メールが溜まってしまう気持ちもわかりますからね。メールの未開封が溜まってきたら違うGmail作っちゃって捨てアドレスにしようとかね。

コロナ禍になってオンライン授業をやることになったんですけど、URLを送ったとしてもそれが届いているのかどうかもわからなかったりとか、オンライン授業の案内のメールすらもみてなかったりとか、そもそも受信すらできてなかったりとかっていうのがあったので、そこを改善するためにアプリって使えるんじゃないかと。

使いようによっては、アプリでそういったところが解決できるよねってなったんですよね。

このコロナ禍がいつまで続くかわからへん状態でもありましたし、インフラの整備だけはしておく必要があるっていうのは感じていたので。

コスト感を聞いてみて、まずは掲示板を廃止していくっていうところからスタートするのはアリなんじゃないかと思って、始動しましたね。まだうちは紙を掲示板にはる文化なので、それを一斉配信でスマホに届くようにできたら、Z世代の学生たちにとって良いんじゃないかなと思いましたね。

 

今も掲示板は使ってるんですけど、掲示板に貼る案内と、アプリで配信する案内は、立ち位置を敢えて分けてます。

「学校に来て、見てね!」っていう情報もあった方がいいと思うんですよね。そういう場合は、掲示板をつかってますね。

「学校に来て、情報見て、その足で手続きしてね」っていう流れですね。その方が学生にとっても良いでしょうから。なので掲示板は今も必要だなとは感じています。最低限、学校でみる情報を残しつつ、メインをアプリで配信しているっていう感じですね。

 

 

コロナ禍で感じた学校の課題

先ほど申し上げた、”連絡が埋もれる”っていうところもありますし、あともう一つは、教職員と学生間のコミュニケーションツールを模索しているところでした。時代的には問い合わせをLINEで受け付けるようになっているじゃないですか。うちもLINEでやりとりしていたのですが、個人のLINEを使うのはプライバシーの面で不安な部分もあって。個人情報にもなりますし。

そういったところで課題があるなと感じていたところだったんですよね。

アプリのチャットだと、先生は学校用のスマホ端末で、しかもオフィシャルなツール上でプライベートを犠牲にすることもなく、かつLINEのようにチャット形式で受け答えができるので、教員と学生間のコミュニケーションツールもアプリに移行することにしました。

“在校生はアプリのチャットを使って問い合わせてね”っていう風にオペレーションしてあげればアプリでのやりとりは可能だと感じました。

 

学校用のスマホ端末は学校のセキュリティがかかったWifiで制限しているので、勤務時間外は受け答えができないよっていう環境にすることもできますしね。先生側も問い合わせに縛られることもなくなるじゃないですか。

 

LINEは24時間受信できちゃうけど、アプリのチャットだとそういう教育方針として打ち出すこともできるなって思ったんですよね。学生にとっても先生にとってもいい窓口になるんじゃないかと。そもそも、LINEとアプリって立ち位置が違うと思いますし、そこを理解しながら使っていきたいなと思いますね。

チャットの窓口は、悩んだんですけど、クラスごとに分けた方が、学生からすると質問先がわかりやすいかなと思ったので、今はクラスごとにチャットの窓口を作ってます。

 

 

インフラ整備で変化した取り組み

まずは、情報配信ですね。掲示板とメールで案内していましたが、よりコアな情報はアプリから配信するようにしました。オフィシャルな情報として「台風が近づいてるのでこういう場合は休校になります」とか「緊急事態宣言で休校になります」といった内容ですね。

工夫してるのは、クラス単位での情報配信はアプリのプッシュ通知のセグメント配信で配信したいクラスだけに配信するようにしています。

 

やっぱり、”情報が必要なクラスの学生だけに届けるようにする”っていうのは意識しています。学生自身もそういうスタイルに慣れていると思いますから。

いろんなところに情報が溢れているので、それぞれの情報のカテゴリの棲み分けをして、学生がよりわかりやすくアクセスできるようなインフラ整備をすることは大前提で構築はしていますね。情報配信の広さでいうと学校単位→学科単位→クラス単位っていう感じでセグメント配信する範囲を分けています。

 

次に、教職員と学生間のオンラインでのコミュニケーションですね。

アプリのチャットを通してコミュニケーションをとってもらっています。チャットの窓口はクラス単位で任せているので、クラス単位で使い方が様々ではありますよ。運営や管理をしている私の立場からすると、クラス毎に若干使い方が違うのは、興味深い部分もあります。

このクラスはチャットをこういう使い方してて、このクラスはこう使ってるなとか・・・(笑)

 

あとは、インフラ整備をしたことによって、オフィシャルな情報はアプリから配信されるっていう文化を根づかせないといけないと感じています。今までは、学生間同士の情報がだんだん伝言ゲームみたいな感じになって、どれが本当の情報かわからない時があるっていう声を学生から聞いたりもしていて。

そういうのも改善できるなと思って、”そういったときはアプリを見るとわかる”っていう、学生にとっての一つの解決ツールになっているのは、良い変化だと感じますね。学生が一番手に持ってるスマホで、アイコンをタップするだけでアクセスできるのもいいですね。

そういう使い方ができるのもあって、オフィシャルな内容はアプリから配信するようにもしていますし、各クラスどんどん小さい情報からでも使っていって欲しいと思っています。

そういう文化をつくることができたら、アイコンの右上に1の通知があると、なんかドキってしますよね。“みなきゃ!”みたいな(笑)

頻度も大事だなっと思ってて、あまりアプリから送りすぎると、どれが大切な情報なのかがわかりにくくなるとも思うので、そこも意識してますよ。だから他の学科や他のクラスの情報はできるだけセグメントして届かないように気をつけています。 

 

“学校の一つの文化”として根付かせていきたい

今考えていることは、入学予定の学生たちとのコミュニケーションの改善ですね。

入学予定の子達は今HPや公式LINEが問い合わせ窓口になっているんですけど、入学がきまった時点で学生にもアプリを入れてもらって、アプリのチャットに問い合わせてもらうような文化にしていこうと考えています。

例えばオリエンテーションについての問い合わせとか、体操服のサイズとか、通学定期についてだったりとか、そういうやりとりの場に使ってもらいたいなと思ってます。

 

入学生用に”アプリダウンロードの案内とアプリの使い方”を書いたポップを作ってオペレーションをしていこうかと。

それを実現するには、運営側の手間は一つ増えるかもしれないですけど、後々のことを考えると確実性は増すと思うんですよね。

入学してからもアプリは必要になりますし、それだったら、入学してからアプリの使い方を落とし込むより、入学する前にも使ってもらえると、南海福祉看護専門学校のアプリの使い方もすぐに慣れてもらえますし。

オフィシャルなツールでやりとりをするっていう文化をいかに早く伝えて慣れてもらうかが大切かなと思います。

去年導入したての時は、すでに先生と何かしらのSNSでやりとりをしている学生もいたので、「アプリを取らせるような状況づくり」を考えないとなって思っていましたよ。(笑)

やっぱり人に言われたことってなかなかできないですけど、やらざるを得ない状況になると、自ら動きますよね。学生が必要な奨学金関係の情報だったりをアプリから配信すると、アプリ取らなきゃだめじゃないですか。

そんな感じで、インフラを整備するだけじゃなくって、整備して「文化をつくる」ことを今しているので、これからはそこをもっと強化していきたいなと考えています。

 次の春には生徒や先生方にアプリのレクチャーをする機会を設ける予定なので、それをきっかけにまたインフラ整備を見直せたらなと思いますね。

 

 

プロフィール
南海福祉看護専門学校

大阪府高石市にある南海福祉看護専門学校は、1968年に創設された歴史ある学校。2019年4月より「児童福祉科」・「介護社会福祉科」に「看護学科」が加わり、新たにスタートされました。「人間(ひと)を大切に」を教育理念とされており、社会の中で大いに開花できる「福祉」と「看護」のエキスパートの養成に力注がれています。

 

HP:https://www.nansen.ac.jp/index.html

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